【考えごと】フロントシングルを選ぶ理由がみつからない

フロントシングルのメリットはいくつかありますが、1台しか所有していない私にとっては、どれもフロントシングルを選ぶ理由にはなりません。

こんにちは、人見知りぼっちサイクリストの管理人です。

以前投稿した記事で、フロントシングルではなくフロントダブルとジュニアギア(14-28T)の組み合わせが自分には合っていると書きましたが、フロントシングルを選ぶ理由は本当にないのだろうかと、考えてみました。

重量と価格

グラベルロードバイクを想定しRX800系のGRXで税抜き定価とカタログ重量を比較してみました。
ギアの組み合わせとしては、グラベルロードの完成車によくある組み合わせ、
 フロントダブル:48-31T x 11-34T
 フロントシングル:40T x 11-42T
の前提です。

表には含めてませんが、フロントのシフトケーブルも不要になるので、重量的にはさらに20〜30グラムほど軽くなるので、重量はざっくり100グラム(0.1kg)ほどフロントシングルが軽くなるかと。

グラベルロードを想定し、フロントダブルのスプロケット前提を11-34Tとしていますが、ロードバイクでよく使われる11-28Tだと重量差はさらに少なくなり、フロントダブルの前提をクランクやディレーラーなど含めて、R8000 アルテグラとすると、重量差はほぼゼロとなります。

チェーンリングやフロントディレーラーなど取り外すので、一見軽量化に繋がりそうですが、ギア比のレンジを確保しようとすると、大きなスプロケットを選びたくなり、その重量増が大きいようです。

軽量化を期待する場合は、小さいスプロケットを使いながら、例えばヒルクライム専用とか平地高速巡航専用のように走行シーンや速度域を絞ったギア比を選択する必要がありそうです。

価格面では、完成車購入ではなく、バラ完の場合、つまりフレームを選び、さあフロントシングル or ダブル、どっちで組もうかな?という場合には、フロントシングルの方が、約13,000円安く組めます

一方、フロントダブルの完成車から、同じRX800系でフロントシングルへ変更する場合、チェーンリング(5,749円)と表に記載のスプロケット、リアディレーラーの変更をすると、追加費用はざっくり27,700円+税となりますね。

メンテナンス性

メンテナンス性の向上もフロントシングルのメリットとして挙げられます。

フロントディレーラーのメンテナンス=清掃、注油、ワイヤーの点検&交換が、そもそも不要になります。
さらに、フロントディレーラーが存在しないことで、チェーンリングやBB(ボトムブラケット)周辺の拭き取り清掃がとてもしやすくなると思います。

とはいえ、先日投稿したチェーンのメンテナンスと同様に、変速機とその周辺もオイルでギトギトの状態にせず運用できていれば、清掃自体はそれほど面倒な作業とは感じていませんし、雨の日は基本的に乗らない私にとっては、フロントシングルを選ぶ理由としては弱い印象です。

トラブルのリスク

トラブル低減としては、フロントディレーラーのトラブルが無くなることと、チェーン落ちしにくくなる事が挙げられます。

まず、フロントディレーラーのトラブルの要因は、次の三つかと。

 ①そもそもの変速調整の不良、固定ボルトの緩み
 ②シフトワイヤーの伸びによる調整不良・摩耗による断線
 ③外的入力による破損

このうち、①変速調整不良やボルトの緩み、②シフトワイヤーに起因するトラブルは、日頃の点検とメンテナンスである程度予防ができるトラブルだと思います。

③外的入力による破損は、例えば路上に落ちていた枝葉をチェーンリングに巻き込んでしまってフロントディレーラが曲がってしまった、とか、転倒した際に運悪く何かがフロントディレーラーに直撃した、みたいなことですが、部品がついている以上、確かにそのリスクはゼロにはならないですよね。

次に、チェーン落ちはどのように起きるかというと、チェーンリングの歯にチェーンが掛からないまま、チェーンリングが回転するとチェーンリングの内側か外側にチェーンが落ちます。

で、”チェーンリングの歯にチェーンが掛からない状態”になりうる状況は、いくつかありますが、次の二つが遭遇しやすい状況だと思います。
 ①段差などを乗り越えた時の上下左右の振動によって、チェーンが暴れチェーンリングから離れてしまうとき
 ②アウターxローのたすき掛け状態から、トルクをかけながらフロントアウターからインナーへ変速するとき

フロントシングルに使われるナローワイドチェーンリングは、通常の変速が可能なチェーンリングより、ギア歯がチェーンにしっかり噛み合う構造になっており、①のようにチェーンがチェーンリングから離れにくくなっています。
一方、フロントダブルの場合には、フロントディレーラーのプレートが、ある程度チェーンのバタつきを抑えてくれますので、実際にはチェーン暴れによるチェーン落ちのリスクはフロントシングルと大差ないように思います。

②の変速時のチェーン落ちは、フロントシングルでは起こり得ないトラブルですが、フロントダブルでも避けようと思えば避けられる操作です。要は、アウターxローのたすき掛けにしない、または、その状態からフロントの変速をしないようにする、という事ですが、舗装路の登り下りでは、それほど難しいことではないように思います。

MTBのトレイルライドやクロスカントリー、シクロクロスのように、激しくアップダウンが繰り返されるような場面では、シフトアップ・ダウンも素早く頻繁に操作することになるので、フロントシングルの右手だけのシンプルな操作が大きなメリットになると感じます。

時折、超ロングライドをするような方が、疲れて頭が回らなくなった時に、右手だけのシンプルな操作なのはありがたい、というような意見を見たことがありますが、変速操作もまともにできない状態で公道を走るというのは、安全上、どうなんでしょうね。

とはいえ、うっかりミスでチェーンが落ちやすい操作をしてしまったり、転倒させてしまった場合や、輪行や車載中の知らぬ間にフロントディレーラーに負荷がかかり、変速調整不良の状態になってしまうことも、十分考えられます。そこも含めてリスクヘッジしておきたいと考えれば、フロントシングルは有効な選択だといえそうです。

とはいえ、積極的に選ぶ理由として、やはり弱い。
トラブルに備えるのは大事だけれど、想定外のトラブルは起きる時には何かしら起きるもの。フロントダブルで得られる、というかフロントシングルで失うベネフィットと天秤にかけると、やはりフロントダブルを選択したくなります。

まとめ

いろいろな角度でフロントシングルのメリットを考えてみましたが、登りから平坦まで、主に舗装路ときどき砂利道という使い方をしている限り、積極的にフロントシングルを選ぶ理由が見つかりませんでした。

フロントシングルを選ぶなら、そのバイクを活躍させるシーンを限定して、不要かつトラブルの種となる要素を取り外した結果として、フロントシングルになる、ということになるかと思います。

例えば、もう一台ロードバイクを手に入れることができたなら、現在の唯一の愛車 Breezer Inversionをグラベル・トレイル遊びに特化したバイクとして、フロントシングルにするという選択はアリかなと思っています。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。